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事実の概要

昭和35年2月、X(原告・被控訴人・被上告人)と、Xの債務者であるY(被告・控訴人・上告人)との間には、Xが、Y所有の本件土地を買い受け、代金はXの債権と相殺するなどして決済する旨の合意が成立した。合意は、同時に以下の約定を含む。すなわち、本件土地は、Yが同年12月末までに代金額相当の金員をXに支払うならばYに返還され、反対に支払がないならば、確定的にXの所有となり、Yは地上にある本件建物を収去して土地をXに引き渡さなければならない。この合意に基づき、同年2月中に、YからXへ売買を原因とする所有権移転登記がなされた。その後、Yによる金員の支払がないまま12月末日が経過したので、Xが、Yに対し建物収去・土地明渡しを訴求したのが、本件である。第1審は請求を全部認容し、原審もYからの控訴を棄却した。原審は、本件合意につき、実質を譲渡担保と解し、また、Yの虚偽表示無効の主張を斥けている。Yは、清算の必要などを主張して上告に及んだ。原審の認定では、本件合意成立時における本件土地の時価は349万余円、YがXに支払うべきであった代金相当の額は246万余円である。¶001