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事実の概要

Aが所有する本件建物につき、1階部分がBに、2階部分がCに賃貸され、またDのために抵当権が設定、登記も経由されていたが、その後さらにY(被告・被控訴人・被上告人)のために根抵当権が設定、登記も経由された。次いでX(原告・控訴人・上告人)が本件建物をAから買い受け、B・Cに対する賃貸人としての地位も承継した。Dが抵当権の実行を申し立て、昭和57年11月30日に不動産競売開始決定がなされ、以後賃借人は賃料を供託した。Yはかかる競売代金について配当加入する(ただし配当は受けていない)とともに、昭和58年7月、根抵当権に基づく物上代位権の行使として、Bが供託していた昭和57年11月から翌年7月までの賃料405万円および同じくCが供託していた賃料127万8000円に対する還付請求権を差し押さえ、転付命令を得た。そこで、XはYに対し、抵当権は使用収益権限のない非占有担保権であるから、目的物利用の対価である本件供託金還付請求権に物上代位することができない、仮にできるとしても本件建物の競売代金に配当加入したうえ重ねて賃料に物上代位することは不当であるなどと主張し、Yが物上代位によって得た金532万8000円を不当利得として返還することを求め提訴した。1審・2審ともにXの請求棄却。その理由は、賃料債権も抵当権の把握する交換価値の一変形であること、抵当不動産の換価ができないときにも抵当権の効力が賃料債権に及ばないとすることは抵当権の効力を著しく弱めること、物上代位権行使が目的物の滅失毀損の場合に限定される理由がないこと(1審)であり、さらに賃借権の負担のある目的物件に対する根抵当権は、賃料債権をも含めた交換価値を一体として把握していると解するのが相当であり、そう解しても賃借人の用益権を妨げるものでないことなど(2審)である。X上告。¶001