事実の概要
Aは衣類の小売販売店を営んでいたが、X1、X2、X3、X4(原告・被控訴人・上告人)に対する債務の返済が滞ったことから、Xらと協議の結果、債務完済までXらに営業全部を譲渡し、事実上の経営はAが継続するが、売上金はXらに対する債務の返済に充て、Xらが売上金の1割を生活費としてAに支給する旨の合意が成立し、X1が代表者、X2が会計担当者となった。ところが、AはXら以外にY(被告・控訴人・被上告人)に対しても債務を負っており、Yの申立てにより仮差押命令が発せられ、執行吏がAの店舗に現れた。すでにXらに譲渡されている店舗商品が差押えの対象となることをXらに知られることをおそれたAは、会計担当者であるX2宅を訪れ、仮差押えの事実を秘したうえで、仕入資金を貰ってくるようにX1から言われた旨の虚偽の事実をX2に告げて、Xらの共有財産から約11万円の交付を受け、さらに、店舗の売上金約6万円を横領して、合計約17万円を自分の預金であると偽って執行吏に提出した。XらはAが執行吏に提出した金銭の所有権がXらに帰属するとして、Yに対して第三者異議の訴え(民訴旧549条、民執38条)を提起し、執行の排除を求めた。一審は第三者異議を認めたが、原審(福岡高判昭和37・11・13金法327号7頁)は、騙取金等の占有を取得したAが所有権も取得し、A所有の金銭に対して執行がなされたとして第三者異議を認めなかった。Xらが上告。¶001