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事実の概要
昭和45年3月、Aは所有する土地甲をX(原告・被控訴人・被上告人)に代金45万円で売却し、遅くとも同月31日からXは甲の占有を開始したが、甲にかかるXへの所有権移転登記はされなかった。昭和57年1月13日、Aの子Bは、昭和47年10月8日相続を原因として、AからBへの所有権移転登記を了し、昭和59年4月19日、CのY(被告・控訴人・上告人)に対する債務を担保するため甲に抵当権αを設定し、同日付けで抵当権設定登記を了した。またBは、昭和61年10月24日、DのYに対する債務を担保するために甲に抵当権βを設定し、同日付けで抵当権設定登記を了した。同年11月26日抵当権αと抵当権βの順位が変更された。Xは、以上の事実を知らないまま、甲を耕作し、その占有を継続した。Xは、抵当権α設定時において甲を所有すると信ずるにつき善意無過失であった。平成9年12月11日、DはYに対する借入債務を弁済し、抵当権βは消滅した。Yは、抵当権の実行としての競売を申し立て、平成18年9月29日、競売開始決定を得た。Xは第三者異議訴訟を提起し、平成20年8月9日、Bに対して甲につき所有権の取得時効を援用した。¶001