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事実の概要
X(原告・控訴人・被上告人)は、訴外A社の代表取締役である訴外Bから、B所有の工場を賃借し、ブナシメジを生産していた。Bは、賃貸借契約の解除等をめぐる紛争に関連して同工場を実力で占拠し、その間、A社は農業協同組合Y(被告・被控訴人・上告人)との間で、ブナシメジの販売委託契約(本件販売委託契約)を締結し、同工場内のX所有のブナシメジをYに出荷した。Yは、本件販売委託契約に基づき、そのブナシメジを第三者に販売し、代金を受領した。その後、Xは、Yに対し、XとYとの間に本件販売委託契約に基づく債権債務を発生させる趣旨で、本件販売委託契約を追認(本件追認)した。これに対して、Yは、ブナシメジの販売代金の支払を拒絶した。Xは、本件販売委託契約は、ブナシメジの所有者であるXを委託者とするものであると主張し、受託者Yに対して、ブナシメジの販売代金の支払を求め(主位的請求)、予備的に、Aが倒産状態で債権回収が困難であることを知りつつ、本件販売委託契約を締結して、Aに対する債権とブナシメジの販売代金支払債務とを相殺したというYの不法行為によって、Xは販売代金相当額の損害を被ったと主張し、Yに対して、損害賠償を求めて(第1次予備的請求)、訴えを提起した。¶001