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事実の概要

X(原告・控訴人・上告人)は、平成8年1月に、Aの紹介により本件不動産を買い受けた(所有権移転登記もされた)。その後、Xは、本件不動産を第三者に賃貸したが、賃借人との交渉、契約書の作成および敷金の授受等を、すべてAにゆだねていた。また、この賃貸に関する依頼をするに際して、Aから言われるままに、本件不動産の管理を業者に委託するための諸経費の名目で240万円をAに交付していた。¶001

さらに、平成11年9月から同12年1月にかけて、①Xは、Aから上記240万円の返還手続のため必要と言われ、本件不動産の登記済証をAに預けた。②Xは、購入した甲土地の所有権移転登記手続および隣接地との合筆登記手続をAに依頼していたが、その手続に必要と言われて印鑑登録証明書4通をAに交付した。③XがAに本件不動産を代金4300万円で売り渡す旨の売買契約書が作成された。その際、Xは、売却する意思がないのに、書類の内容および使途を確認することなく、Aから言われるままに署名押印していた。¶002