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事実の概要

塩釜在住のX(原告・控訴人・被上告人)は大正6年4月2日に新潟に営業所のあるY会社(被告・被控訴人・上告人)から肥料用の大豆粕11車を購入する契約を締結した。このうち1車についてはただちに、10車については4月30日に「塩釜レール入」で引き渡すべきものとされた。ところがYが大豆粕を積み出さないので、Xは6月22日に履行を催告した上で、契約を解除し、債務不履行に基づき損害賠償を請求する訴えを提起した。Yは、Xが代金の提供をしていない以上、同時履行の原則からまだ履行遅滞は生じていないと主張した。Yは、「塩釜レール入」という契約文言は、代金と目的物の引渡場所を定めるとともに、塩釜駅到着時を商品価格を確定する標準とするものにすぎず、同時履行の原則を変更するものではないと主張したが、原審は鑑定に基づき、「塩釜レール入」を条件とすると、売主がまず売買の目的物を塩釜駅に送付する義務を負い、商品が塩釜駅に到着するまでは代金を請求できないという商慣習があると認定し、同時履行の抗弁を否定して損害賠償を認めた。¶001