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事実の概要
X(原告・被控訴人・被上告人)は、その所有地上に松樹を所有していた。この松樹は、かつて武田信玄が旗をかけたと言い伝えられる由緒あるものだった(もっとも、この言い伝え自体は後に樹齢の鑑定により真実でないことが判明した)。ところが、その近辺にY(国―被告・控訴人・上告人)により鉄道が敷設されることになり、この松樹の西側約4間(約7.2m)の箇所に本線が、さらにその後西側1間(約1.8m)未満の箇所に回避線が敷設された。Xは、煤煙による松樹の枯死をおそれて線路の位置変更等をYに対し申し入れていたが、受け入れられるところとならなかった。その後、果たして松樹が枯死するに至ったため、XはYに対し不法行為に基づく損害賠償を求めて訴えを提起した。¶001