版は商業活動であるにとどまらず、一国の存立にとって重要な社会資本ないし文化資本を産み出す文化活動である。経済学的にいえば、過去の出版活動を通じて行われてきた投資が資産(社会資本ないし文化資本)として蓄積され、それが、現在および将来において私たちに便益を与える。

特に、法律の分野においては、法制度の健全な運用には、公的な制度資本としての法令と判例だけではどうにもならず、法曹や法学徒が手軽に参照可能な法令集や法学雑誌の存在が不可欠である。『六法全書』や『ジュリスト』は、そのような役割を果たす社会資本ないし文化資本の代表的なものであるといえよう。それ故に、法律書の出版は、一国の隆盛に関わる重要な存在であり、(私人の活動により形成されるものとはいえ)公共財的側面さえ有する無形資産を産み出す活動なのである。