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Ⅰ.はじめに

租税法及び財政法の学術研究は、「時間(クロノス)」の視点に加えて「空間(トポス)」の視点や「時空間(クロノトポス)」の視点を加味することで、より豊潤なものになる可能性を秘めている。¶001

租税法において「時間」は、所得税法や法人税法が実現主義課税を採用していることと密接に関連してきた。例えば、課税のタイミング(所得の年度帰属)の問題、金銭の時間的価値(time value of money)と課税の関係など多くの研究が展開されてきた1)。財政法の文脈では、世代間衡平の問題、現金主義的な予算単年度主義がもたらす政策決定への非中立性の問題などが課題として存在している2)¶002